11年間に入院した133人のうち、両方の障害を持つ患者の48%で強迫性障害の症状が統合失調症の症状に先行していた。
強迫症状と精神病症状は24%の患者で同時に発生し,28%では強迫症状が精神病症状の最初の発生に続いて発生した。 強迫性障害(OCD)の臨床的に重要な症状が最初に現れたのは平均19.1歳であったのに対し,精神病症状の最初の発症は平均20.4歳であったとSarit Faragian博士らは報告した。
二つの障害の発症年齢の差は男性(コホートの73%を占める)で有意であったが女性ではなかった。 また,両障害とも女性より男性の方が早く出現していた。 男性がOCDを初めて発症したのは平均18.3歳,精神分裂病症状を初めて発症したのは平均19.8歳であった。 女性はOCDを平均21.2歳、統合失調症症状を平均22.1歳で初めて発症したと、Tirat Carmel(イスラエル)精神保健センターの研究者であるFaragian博士は報告した。
本研究は、1999年から2010年に同センターに統合失調強迫症で入院した連続した患者を対象とした(Psychiatry Res. 2012;197:19-22)
しかし、症状発現の平均年齢と診断評価の平均年齢にはかなりの開きがあったため、研究者らは想起バイアスを最小限に抑えるために、統合失調症の初回エピソードを持つ患者52人のサブグループ(診断時の平均年齢22歳)も分析した。 臨床的に重要なOCD症状は,サブグループにおいて統合失調症症状よりも約3年早く,それぞれ18.2歳と21.6歳で出現した。
OCD症状は初発統合失調症患者のうち26名(50%)で最初に現れ,同時に14名(27%),12名(23%)で統合失調症症状の後に出現した。
この知見は、統合失調症強迫性障害患者のかなりの割合において、強迫症状は精神病とは無関係であり、統合失調症の結果ではないことを示唆していると、研究者らは示唆した。 しかし、これまでの研究で示されているように、抗精神病薬治療や精神分裂病に関連した未知の原因が、精神分裂病患者の一部で二次的なOCD症状を誘発することはまだ事実である。
今回の研究で、研究者らはまた、精神分裂病強迫障害患者133人と同時期に入院した、精神分裂病だがOCDではないマッチした患者113人を比較検討した。
統合失調症強迫性障害群の患者は,統合失調症のみの患者(21.6%)に比べ,18歳以前に精神病症状が始まったと報告する割合が有意に高かった(46.6%)。
精神分裂病強迫症患者の多くでは、精神病症状より先にOCD症状が始まっていることから、OCDは精神分裂病に移行するリスクの高い若者を識別するのに有用かもしれないと、Faragian博士は示唆した。 OCDと双極性障害についても同じことが言えるかもしれない。不安障害、特にOCDを持つ患者では双極性障害がより若い年齢で始まることを示した過去の研究に基づいて、彼は付け加えた。
今回の研究の他の限界として、OCDと精神病症状の発症の時間差に有意差を示すには研究対象の女性の数が少なすぎたかもしれない。 しかし,精神分裂病もOCDも異質な疾患であり,早期発症のOCDは家族性であり,男子に多いことが知られている。 今後の研究では、精神分裂病強迫性障害の発症年齢に対する家族性の影響に焦点を当てるべきであるとFaragian博士は示唆した。
この研究は、精神分裂病強迫性障害患者における症状の発症年齢を分析したこれまでで最大のものと思われる。 感情障害や器質性精神障害、薬物誘発性またはアルコール誘発性の精神病の患者は除外されている。
Faragian博士らは、報告すべき金銭的利益相反の開示を行なっていない。