Extract: 難聴を伴う、あるいは伴わない遺伝性腎炎に関する文献の蓄積は、この症候群の存在に対する認識が高まっていることを証明するものである。 本報告の目的は、疾患が少なく腎機能が正常な若年者において、鑑別可能な組織学的所見が存在することを示すことにある。 11人の患者が研究対象となり、4人が女性、7人が男性であった。 家族歴と臨床検査所見は表Iに示す通りである。 全例に肉眼的あるいは顕微鏡的な血尿が認められた。 血尿の増悪は,上気道感染に対するこれらの患者の誇張された反応の一部として起こった. 腎機能データを表IIに示す。 これらのデータは概して我々の研究室の正常範囲内であった。 表IIIは、腎生検で観察された形態学的所見の概要である。 10名の患者の腎生検では、臓器上皮が周方向に混在し、特許毛細血管の数が明らかに減少していることを特徴とする胎児様の糸球体が持続的に観察された。 尿細管で最も顕著な所見は、主に遠位尿細管と集合管で見られた赤血球と血球の鋳型の存在であった。 泡沫細胞はまれな所見であったが、存在しても間質性線維化とは無関係であった。 腎臓の標本を電子顕微鏡で観察すると、特にボーマン嚢に面した表面には、少なくとも臓器上皮細胞のferential crowingが存在することがわかった。 これらの上皮細胞は、大きな核、少量の細胞質、明らかに不十分な細胞質内小器官、および表面にある絨毛状の細胞質突起によって特徴付けられた。
過去の病歴を入手できない家族において、腎生検の明確な特徴を認識すれば、病気の初期段階でこの症候群を特定することができるだろう。 この段階では、a)胎児様糸球体(電気顕微鏡で7名、光学顕微鏡で10名に認められる)、血球瘤、d)間質性線維のない泡沫細胞の存在が特徴と考えられる形態学的特徴の組み合わせとなるであろう。 我々の患者にみられた胎児様の糸球体は、他の研究者が電子顕微鏡で観察した糸球体の正常な発達段階のいずれにも一致せず、むしろ異形成を示すものと思われた。 この時期の胎児の糸球体は例外的である。 興味深いのは、兄弟間でほとんど同じ組織像が見られるという観察結果である。 腎生検で観察される胎児性糸球体は、発育異常か異所性のどちらかである可能性がある。 電子顕微鏡で観察されたすべての糸球体の変化は、光学顕微鏡では形態的に変化していないように見える糸球体でさえも、病理学的プロセスに関与しているか、または関与していることを示唆している。 このことから、小児の腎臓病には、多様な病因というよりむしろ共通の病因があることが示唆される。 自然経過を明らかにするためには,腎機能検査や生検を繰り返し,長期間の経過観察が必要である
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